活用事例

公立諏訪東京理科大学
産学連携を推進する公立諏訪東京理科大学の地域企業向けAI人材育成講座をサポートするUEIの深層学習ワークステーション
「地域連携研究開発機構」として、地元企業や機関と協力しつつ、地域が抱える課題の解決や最先端の技術開発を行っている公立諏訪東京理科大学。学内での研究・教育だけでなく、学外からの依頼や協業への取り組みにも積極的に取り組んでいて、その一環としてディープラーニングを活用している。自動車の自動運転の基礎技術を研究し、産学連携プロジェクトでも活躍されている橋本幸二郎氏に、「Deep Station」導入と活用についてお話を伺った。
お客様プロフィール
公立諏訪東京理科大学
2018年4月1日(2002年に諏訪東京理科大学が開学)
長野県茅野市豊平5000-1
国内有数のものづくり拠点として知られる諏訪圏に立地する公立大学。学校法人東京理科大学が開設した諏訪東京理科大学を前身とし、2018年4月に公立大学へと移行。「理学の普及を以て国運発展の基礎とする」を建学の精神に掲げ、地域産業ひいては世界で活躍できる、最先端の知識と技能を習得した人間性および創造性豊かな人材の育成に取り組む。

マウス操作だけで本格的なAI開発ができる「Deep Analyzer」は学習用途にも最適

─先生の研究テーマを教えてください。

橋本幸二郎氏(以下、橋本) おもに「ドライバーの運転行動モデリング」という研究テーマに取り組んでいます。わかりやすくいえば、車載カメラやCANデータなどから走行映像のほか、アクセル・ハンドル操作等をビッグデータとして収集し、そこから解析したドライバーのクセなどを元に運転支援システムや、認知ミスの検出技術などを開発している、といったところでしょうか。ただし、既存のAIは入出力から学習モデルを生成しますが、その判断基準はご存知のとおり「ブラックボックス」です。自動運転は人命に関わるものですから、当然、ブラックボックスのままで運用するわけにはいきません。そこで私の研究ではAIに確率モデルを組み合わせて、ブラックボックスのままでも良い処理はAIに任せて、残りはデータを可視化できる確率モデルを応用した技術を利用しています。

─公立諏訪東京理科大学の特色を教えてください。

橋本 2018年の公立化に伴い、全学をあげてAIやIoT技術に取り組んでいますし、新しいことを積極的に挑戦しようという姿勢は強く感じます。また、本学は民間企業出身の教員が多く、アカデミック一辺倒ではなく「現場の技術を学べる」という点も大きな特徴のひとつでしょう。こうした学風が顕著に現れているのが、産学連携への意欲的な取り組みです。例えば、2019年3月からは「諏訪圏ものづくり推進機構」と協力し、地域企業を対象にした「IoT・AI人材育成講座」を開設しています。新しいことを貪欲に追い求める姿勢、教員の豊かな人脈、そして、ものづくりの産業拠点である諏訪圏に学舎をかまえる立地性、こうしたアドバンテージが公立諏訪東京理科大学という唯一無二の学びの場を作り上げていると思います。

工学博士 橋本幸二郎。名古屋大学にて博士課程を修了後、熊本高等専門学校にて助教を務めた後、公立諏訪東京理科大学へ。工学部情報応用工学科にて助教を務める。
現在のところ、自らが開発したプログラムで画像処理や画像認識、パターン認識などを行っているが、今後は「Deep Analyzer」の活用も予定しているとのこと。

─「Deep Station」を選んだ理由を教えてください。

橋本 決め手はやはりAIの開発環境として定評の高い「Deep Analyzer」がセットでついてくるという点です。本学では、学生の講義や社会人向け講座のほか、高大連携授業も展開しておりますが、こうした場でいきなりAIの基礎理論から教えてもなかなか関心を持ってはもらえません。しかし、Deep Analyzerならマウス操作だけで本格的な開発が行えますから、学生に「AIが実際にできること」ひいては、AIの面白さや奥深さを肌身で実感してもらえます。

「ディープラーニングの開発環境がまるごと揃うので、学習指導用のワークステーションにもうってつけですね」

─Deep Station導入時に特にこだわった点はありますか。

橋本 GPUのメモリーです。おもな用途は学習指導用ということもあって、ハイスペックは必要ないのですが、それでも解析時間がかかり過ぎるのは支障がありますし、GPUのメモリーは最低11Gバイトを確保したいと考えていました。そうした条件に見合うモデルをDeep Stationのラインナップから探したところ、まさにうってつけだったのが「Deep Station Entry」でした。こちらの希望どおり、GPUには11Gバイトのメモリーを搭載した NVIDIA社の「GeForce RTX 2080Ti」を採用していますし、価格も極めて手頃でした。そのうえ、AIの開発環境として実績の高い Deep Analyzerも付属してくることが導入の決め手になりました。

製品の不良などを見つけるために欠かせない画像認識。収集した画像データをすべてチェックし、不良と思われる箇所を洗い出す作業を自動で行う。
手書き入力された数字を認識するシステム。大量の手書き伝票や書類を処理するための基礎的な技術となる。学生や民間企業の担当者は、こういった技術から学ぶことになる。

─Deep Stationをどのように活用されていますか。

橋本 学生たちの実験と、社会人向け講座で活用しています。本学では、かねてより産学連携に注力していて、その一環として諏訪圏ものづくり推進機構と協力し、2019年3月から月1回のペースで地域の中小企業向けにloT・AI人材育成講座を開設しています。私は11月に「AI画像処理プログラミング入門」というテーマの講座を担当したのですが、その際に参加者にはDeep Stationを用意して「画像分類」や「物体検出」を体験してもらいました。内容は「写真から部品表面に付着した汚れを検知する」「映像から人や物体を区別する」といった処理など、いずれも基本的なものですが、やはり実際にワークステーションを自らの手で操作すると理解度や食いつきが違うなと改めて感じました。それに、あまりに高額なマシンだと参加者全員に用意するのは難しいですが、その点、Deep Stationは非常にリーズナブルですから市販パソコン感覚で導入できるので有り難いです。

─今後、学生向けの講義や実験ではDeep Analyzerを使用する予定とのことですが、その理由を教えてください。

橋本 Deep Analyzerはマウス操作だけで本格的なAI開発を行えますから、初めてAIに触れるような学生にとってはまさに最適なツールだといえます。私は2020年度から3年生向けの画像処理コースを担当しますが、まず第1回の講義では、Deep Analyzerを使って「AIでどんなことをできるのか」ということを、実践形式で教えようと考えています。また、学習モデルのダウンロード時に「推論用サンプルコード」も取得できるという点も、教員の立場としては非常に助かります。というのも、AIへの理解を深めたり、コードを独自に拡張したりなど、学生にとってより深いレベルでの研究活動ができるからです。もちろん、こうしたサンプルコードはネットでも入手できますが、探すのに相応の時間がかかりますし、そのコードが果たして正しい内容なのかという懸念もあります。しかし、Deep Analyzerのサンプルコードならそうした問題もないので、安心して学生たちに利用させることができます。

映像をリアルタイムで処理するシステム。映像内の人物や、ノートパソコンを識別している。こういった映像認識の技術が、自動車の自動運転などの基礎技術となる。
プログラミングの知識のない、民間企業の担当者でも手軽に深層学習の開発が行える「Deep Analyzer」。代表的なアルゴリズムがプリセットされ、すぐにでも利用可能だ。

─実際にDeep Stationを使ってみて、なにか感想はありますか。

橋本 とても使いやすいです。安定性も抜群で不具合らしい不具合もまったくなく、極めて快調に動作しています。実は、前回のAI人材育成講座は有り難いことに非常に盛況でしたが、そのおかげで参加者用のDeep Stationが足りなくなってしまいました。そこで急遽、私個人のワークステーションをあてがったのですが、ときどきエラーが出てしまい困ってしまいました(笑)。弁明させていただくと、AIの開発環境構築にはさまざまなライブラリが必要となるうえ、セッティングも複雑ですから、くわしい人間でも思いのほか苦労するものです。その点、Deep StationならDeep Analyzerが動作するために、ディープラーニングの開発環境が手間なくひと通り揃います。これが、同一環境の確保が欠かせない学習指導用のワークステーションとして、Deep Stationが最適な理由のひとつです。

─今後、UEIに求めることがあれば教えてください。

橋本 Deep Stationについてはハードとソフトのどちらも満足していますし、価格帯も手頃で申し分ありません。また現状、サポートが必要になったことはありませんが、それも品質の高さを示す何よりの証左ではないかと思います。欲をいえば、私個人としては研究活動を進めるうえで、学習モデル構築のノウハウを共有できる仕組みがあると助かるのですが、これはむしろUEIさんやギリアさんとの共同研究の範疇かもしれません。日本のAI技術は世界的には遅れを取っているといわれていますから、これに限らず今後も産学連携は前向きに模索していきたいです。